研究室について

メッセージ

この研究室に興味をもたれた皆さんへ



 生物の細胞の中では非常に多くの化学反応が同時に動いています。細胞は外界から栄養や酸素を取り込んでエネルギーや細胞の構成成分を生成し、自らを維持しています。生命活動を支える化学反応の総称を「代謝」と呼び、これを解析し細胞を育種する方法を「代謝工学」と呼びます。遺伝子は生命の設計図ですがこれをもとにどの反応を活性化させているかを解析することは生命活動を理解することに繋がります。例えば、出芽酵母は生きるために盛んにエタノールを作ります。大腸菌やコリネ菌などの細菌は酸素がある状態とない状態に応じて巧みに活性化する代謝反応を変えています。光合成生物は光エネルギーを使って代謝を駆動しています。しかし、それぞれの生物がどの反応をなぜ好んで使うのか、環境に適応して代謝を変化させるのか、完全に理解されているわけではありません。


 私たちの研究室では、いろいろな微生物の細胞の代謝を実験的に解析し(ウェット生物学)、代謝の駆動原理を解明し、コンピュータシミュレーション(ドライ生物学)によって細胞がどのような代謝状態を取るのかという謎を解き明かそうとしています。ゲノム情報が明らかにされた生物はどの反応が細胞内に存在するのか、わかりつつありますが、次は、どの反応がアクティブになるのかがわかれば、生命活動の理解が深まるばかりでなく、微生物を使った物質生産の開発に繋がると考えています。


 私たちは、大腸菌、出芽酵母、枯草菌、シアノバクテリアなどを用いて化学品、燃料、薬品、生理活性物質、食品、醸造飲料など、私たちの生活を支えるのに必要な物質を生産する細胞を創る研究をしています。バイオテクノロジーの力で有用物質生産を行うことを「発酵」といいますが、これを支えているのは細胞内にあるたくさんの代謝反応です。私たちはコンピュータシミュレーションによって細胞内の代謝の振る舞いを予測し、有用物質をより効率的に生産するための遺伝子操作の戦略を合理的にデザインする研究を行っています。また実際の細胞の代謝反応の大きさを実験的に決定することで細胞の表現型を議論します。このような研究は物質生産にとどまらず、植物学、光合成、医学などの研究分野でも大きく注目されています。光合成をおこなう生物では光化学系による電子伝達、エネルギー・還元力生成が明らかにされつつありますが、光環境の変化に連動して代謝状態も遷移することが私たちの研究から明らかになっています。


 私たちの研究室の最大の特徴は、生物工学、分析科学、コンピュータサイエンスの力を結集し、代謝工学の地平を切り開こうとしている点です。この研究室に集う教員・研究スタッフのバックグラウンドは、代謝工学はもちろん、生物プロセス工学、農芸化学、オミクスサイエンス、分子生物学、システムバイオロジー、タンパク質工学と様々ですが、新しい代謝情報工学の地平を開拓するために、それぞれの強みを生かし合います。それぞれの分野の重要性を認め、実験と理論の両面からのアプローチを大事にしています。このようなサイクリックな方法を代謝情報工学として確立していきたいと考えています。


 新しい研究手法は多くの研究機関、企業に興味を持たれており、いくつもの共同研究が行われています。この研究室に興味を持たれ、一緒に研究してみたい人は下記まで、ご連絡ださい。修士や、博士の課程で研究したい人は、一度、研究室を訪問されることを是非お勧めします。


連絡先

〒565-0871 吹田市山田丘1-5 大阪大学大学院情報科学研究科 バイオ情報工学専攻

Tel:06-6879-7446 Fax:06-6879-4396

e-mail: shimizu@ist.osaka-u.ac.jp (@マークが全角になっていますので半角にかえて送信下さい)


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